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マンションの管理費の滞納問題の対処について事例を紹介します。
マンションの管理費を納めることは、区分所有者の義務ですが、滞納するケースが後を絶ちません。
管理組合にとっても非常に重い課題ですが、管理会社に管理を委託している場合には、管理費の督促は管理会社の業務となります。
滞納の割合は年々減少している傾向にあると言いますが、築年数の古いマンションや団地型のマンションでは、滞納の割合が高い数値が出ている傾向が見られます。
こういった管理費滞納の対処に裁判を考える管理組合もありますが、解決までにかかる時間や費用を考えると得策ではないといえます。そこで活用できるのが管理会社なのです。
管理会社は、一定期間、管理費を滞納している区分所有者に管理費の督促を行ってくれます。管理会社は長年の経験や情報を基にして、滞納に対する対処のノウハウを持っています。
滞納の理由は人によって違いますが、適切な督促方法で対応してくれます。
ただし、あまりに滞納期間が長い場合や額が多い場合には解決も困難になりますので、できるだけ早い時期に解決することをおすすめします。
管理費を滞納している区分所有者に対して管理組合は支払いを促しましたがなかなか支払ってくれないケースでは、次のような対処法が考えられます。
日本郵便株式会社が証明する文書を使って、管理費の支払いをするよう求めた請求事実を明確にするものです。
いつでも裁判に移れるという管理組合側の意思を示すには、弁護士に依頼して作成してもらうことも良いでしょう。
管轄の簡易裁判所に支払督促申立書等をいう書類を提出すると、裁判所が滞納している人あてに支払督促を行います。
送付から2週間過ぎても異議申し立てがない場合、支払督促が確定し、この結果をもって仮執行の申し立てが認められれば強制執行が可能になります。
60万円以下の債権額の場合には、簡易裁判所に訴状を提出すれば1日で審議を終えて口頭弁論後、すぐに判決が出ます。
弁護士などに相談して、最終手段として訴訟を起こし裁判となります。滞納額と裁判にかかる費用や時間を考えて行うことが大切です。
ただし、過去には管理組合の対応不備を指摘され、逆に管理組合が責任を問われたケースもあるので十分に検討することが必要です。
事前に規約や細則で必要事項を定めておくことも重要です。
滞納をしている人の部屋を競売や任意売却により区分所有者が変更となった場合、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)7条(※2)により、売却代金から滞納管理費等は優先的に支払い分を受け取ることができます。
そのためにはしっかりと滞納があることを新しい所有者に明示しておく必要があります。
悪質な滞納があり改善が見込めない場合、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)59条(※3)により区分所有権等の競売請求、つまり居住している部屋の売却を求めそこから支払わせるということです。これには弁護士などに介入してもらうことが必要です。
このようにさまざまな手段がありますが、現実的な方法としては管理会社に相談して、滞納額が大きくなる前に支払いをしてもらうことが、良い方法といえます。
額が大きくなればなるほど支払いが困難になるなど悪質になりがちです。そうなると法的手段も検討せざるをえなくなりますので、まずは早めに管理会社と連絡をとりましょう。
※1 参照元:国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果 管理組合向け調査の結果[pdf](https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf)
※2 参照元:e-Gov 建物の区分所有等に関する法律 第一章 建物の区分所有 第一節 総則 第七条(先取特権)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069#29)
※3 参照元:e-Gov 建物の区分所有等に関する法律 第一章 建物の区分所有 第七節 義務違反者に対する措置 第五十九条(区分所有権の競売の請求)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069#343)
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